9月1日は「防災の日」です。
防災というと、非常食や飲料水を備えたり、避難場所を確認したりすることを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、こうした準備は大切です。でも、もう一つ確認しておきたいのが、毎日暮らしている「家」そのものの安全性です。
今年7月28日には、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、熊本県宇城市豊野町では最大震度7が観測されました。
被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く安心して暮らせる日常が戻りますことを願っております。
地震は、いつ、どこで起こるのかを正確に予測することが難しい災害です。
だからこそ、防災の日をきっかけに、非常持ち出し袋だけではなく、「今住んでいる家は、これからも安心して暮らせる家なのだろうか」と、一度考えてみてはいかがでしょうか。
特に、長年住み続けている家や、築年数の経った住宅では、耐震性について一度確認しておくことが安心につながります。
知っておきたい「旧耐震」と「新耐震」
自分の家が地震にどのくらい強いのかを考えるとき、まず知っておきたいのが「耐震基準」です。
耐震基準とは、簡単にいうと、「地震が起きても、建物が簡単に倒れたり壊れたりしないように、家を建てるときに決められているルール」のことです。
このルールは、地震の経験や建築技術の進歩に合わせて見直されてきました。
特に大きな区切りとなるのが、1981年(昭和56年)6月1日です。
それより前の基準を「旧耐震基準」、1981年6月1日以降の基準を「新耐震基準」と呼びます。
では、何が違うのでしょうか。
旧耐震基準では、震度5強程度の地震が起きても、建物が大きな被害を受けないことを想定していました。
それに対して新耐震基準では、震度5強程度の地震で大きな被害を受けないことに加えて、震度6強から7程度の大きな地震が起きても、建物が簡単に倒れたり、つぶれたりしないことも考えた基準になりました。
つまり、1981年を境に、地震に対する考え方がより厳しくなったということです。
そのため、家の耐震性を考えるときは、まず「この家はいつ建てられたのだろう?」と確認してみることが大切です。
さらに、木造住宅については、2000年にも地震に強い家をつくるためのルールが、より細かく見直されています。
そのきっかけの一つとなったのが、2016年の熊本地震です。
熊本地震では、昔の「旧耐震基準」で建てられた家だけでなく、1981年以降の「新耐震基準」で建てられた木造住宅の中にも、倒壊などの被害が確認されました。
特に、2000年より前に建てられた木造住宅についても被害が見られています。
そのため、「1981年以降に建てられたから大丈夫」と考えるのではなく、2000年より前に建てられた木造住宅についても、一度、耐震性を確認してみることが大切です。
「うちは何年に建てた家だったかな?」と確認することから始めて、築年数や建物の状態が気になる場合は、一度専門家に相談してみましょう。
古い家だから、すぐ住み替え……ではない
耐震性が気になったとき、「古い家だから、もう住み替えた方がいいのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
国土交通省も、昭和56年以前に建てられた建物について、まず耐震診断を行い、耐震性を把握することを勧めています。その結果、耐震性が不足していれば、耐震改修や建て替えを検討するという流れです。
つまり、「古い家=すぐ売却」ということではありません。
住宅の状態によっては、耐震改修を行い、そのまま住み続けるという選択肢もあります。
一方で、耐震改修には費用がかかります。築年数や建物の状態によっては、思った以上に大きな工事が必要になることもあります。
そこで考えたいのが、「この家にあと何年住みたいのか」ということです。
例えば、今後10年、15年と住み続けたいのであれば、耐震改修や設備の更新に費用をかけることが、これからの安心につながるかもしれません。
反対に、家の老朽化が進んでいたり、広すぎて管理が大変だったり、階段や立地にも不安を感じていたりするのであれば、改修費用をかける前に住み替えを検討した方がよい場合もあります。
大切なのは、古いか新しいかだけではありません。
「これからどのくらいこの家で暮らしたいのか」「どこまで費用をかけるのか」まで含めて考えることです。
これは、家を売るかどうかを考えるときにも同じことが言えます。
特にひとり暮らしなら「地震の後」まで考えておきたい
耐震化というと、「地震が起きても家が倒れないようにすること」と考えがちです。
もちろん、それは非常に重要なことですが、ひとり暮らしの場合は、もう一歩先まで考えておくと安心です。
例えば、大きな地震が起きたとき、建物そのものは倒壊しなくても、家具が倒れたり、ガラスが割れたり、物が散乱したりすることがあります。
停電や断水が起こる可能性もあります。
家族と暮らしていれば、状況を確認したり、避難を手伝ったりできる場合がありますが、ひとり暮らしの場合は、すぐに誰かが来てくれるとは限りません。
だからこそ、「この家は倒れないだろうか」だけでなく、「地震の後も、自分ひとりで安全に動けるだろうか」という視点も大切になります。
例えば、寝室から玄関までの動線に大きな家具がないか。玄関や廊下に物を置きすぎていないか。窓ガラスが割れた場合に避難できるか。
こうした確認は、大がかりな工事をしなくても始められます。
また、窓については、耐震性そのものとは別の話になりますが、住まいの安心を考えるうえで見直す価値があります。
以前の記事でもご紹介した内窓などの窓リフォームは、主に断熱・省エネ対策として知られていますが、防音や防犯など、複数の面から住まいの快適性を高める方法でもあります。
先進的窓リノベ事業【補助金活用事例】
防災をきっかけに、家の中を一度見渡してみる。
それだけでも、これまで気づかなかった不便や危険が見えてくるかもしれません。
防災をきっかけに、10年後の住まいを考える
防災について考えていると、いつの間にか「この家に、これからも住み続けていいのだろうか」という問いに行き着くことがあります。
例えば、今は問題なく上り下りできる階段も、10年後には負担になっているかもしれません。
今は管理できている広い戸建ても、将来一人暮らしになったときには、掃除や修繕が大きな負担になるかもしれません。
耐震改修をしたいと思っても、費用とのバランスを考える必要があります。
だからといって、「将来が不安だから住み替えましょう」という話ではありません。
今の家を耐震改修して住み続けるのも一つの選択です。必要な部分だけリフォームする方法もあります。設備を更新して、暮らしやすさを高めることもできます。
そして、これから先の暮らしを考えた結果、住み替えを選ぶこともできます。
大切なのは、災害への備えと、これからの暮らしを別々に考えないことです。
防災について考えることは、「この家は安全か」を確認するだけでなく、「この家で10年後、20年後も安心して暮らせるか」を考えるきっかけにもなります。
まとめ
9月1日の防災の日。
今年は、非常食や避難場所の確認だけでなく、毎日暮らしている「家」にも目を向けてみませんか。
まずは、自宅がいつ建てられたのかを確認してみる。
1981年の新耐震基準より前なのか、その後なのか。木造住宅であれば、2000年以前に建てられた住宅についても、一度耐震性を確認してみる。
そこから必要に応じて耐震診断や改修を検討するという方法があります。
そして、もし改修に大きな費用が必要になるのであれば、「この家にあと何年住むのか」「その費用をかけて住み続けることが自分にとって良い選択なのか」と考えてみる。
住み続けることも、リフォームすることも、住み替えることも、どれか一つが正解というわけではありません。
特におひとりさまの場合は、もしものときに誰かがすぐ助けに来られるとは限らないからこそ、元気なうちに自分の住まいについて考えておくことが、将来の安心につながります。
当社では、宝塚市・伊丹市を中心に、こうした「今の家をどうするか」というご相談も承っています。
耐震性が気になるけれど、何から確認すればいいのか分からない。この家にお金をかけて住み続けるべきか迷っている。将来を考えて、住み替えた方がいいのか知りたい。
そんな段階でも構いません。
今の家に住み続ける、リフォームする、住み替える――それぞれの選択肢を一緒に整理し、これからの暮らしに合った住まいを考えていきましょう。
お気軽にご相談ください。