今は夫婦で穏やかに暮らしていても、「もしも自分が一人になったら…」と、ふと考えることはありませんか? 60代を迎える頃になると、住まいに対する不安や将来への備えを考える方が少しずつ増えてきます。
家が広すぎる、階段がつらい、夜がなんだか不安…。「そのとき」が来てからではなく、元気なうちに住まいの見直しをしておくことで、将来の暮らしがずっと安心なものになります。
この記事では、「いずれ一人になるかもしれない」と感じたときに考えておきたい住まいの選択肢や、60代からできる備え方について、わかりやすくお伝えします。
「夫婦で暮らせるのも、あと何年?」──見過ごされがちな、その後の住まい問題
夫婦で過ごす時間が長くなるほど、日々の暮らしが当たり前になっていきます。
けれど現実には、配偶者との別れはいつか必ず訪れます。
実際、厚生労働省の国勢調査(2022年)によると、離別・死別を理由に60代後半から70代後半にかけて、多くの方が一人暮らしに切り替わるタイミングを迎えています。

それなのに「一人になったあとの住まい」については、後回しにされがちです。いざ一人になったときに、「2階建ての家で階段がつらい」「駅や病院が遠くて不安」「広すぎて掃除や管理が大変」という声は、珍しくありません。
しかし体力が落ちたあとに、家を手放したり、新しい住まいを探したりするのは、思っている以上に大変です。元気なうちに、選択肢を知っておく。準備しておく。それだけで「いざというときの安心感」が違ってきます。
一人になってから気づく住みにくさ
「長年住み慣れた我が家だから」と、今の家に何の不満もないと感じている方も多いかもしれません。けれど、いざ一人暮らしになってみると、これまで感じなかった「住みにくさ」に直面するケースが少なくありません。
たとえば、2階に寝室やお風呂がある間取り。若いころは気にならなかった階段の上り下りが、年齢とともに負担になってきます。一日に何度も昇り降りをするのがつらくなり、「できればワンフロアで生活したい」と思い始める方も増えています。
また、一人になったことで日々の家事や管理が重荷に感じられることもあります。広い庭の手入れや、たくさんの部屋の掃除、空調の管理。誰かが一緒にいるときには自然に分担できていた作業が、すべて自分にのしかかるようになります。さらに、夜間や体調不良時の不安も無視できません。
たとえば「夜、急に具合が悪くなったらどうしよう」「転倒したとき、助けを呼べる相手がいない」といった不安は、年齢を重ねた一人暮らしでは現実的なリスクです。
こうした課題は、元気なうちはあまり意識されません。だからこそ、「元気なうちに備える」「一人になったときの暮らしをイメージしておく」ことが、老後の安心につながります。
「売る」「住み替える」「備えておく」3つの考え方
一人暮らしに備えるうえで考えておきたいのが、今の家をどうするかという問題です。誰にとっても簡単に決められることではありませんが、大きくは次の3つの選択肢があります。
① 売る(現金化して身軽にする)
築年数が経っている家でも、立地や管理状態によっては売却できることがあります。「住まない家を抱え続けるのが不安」「子どもに残しても迷惑になるのでは」と感じているなら、早めに売却して現金化し、今後の生活資金や介護への備えに回すという選択肢も現実的です。
特に相続でトラブルを避けたい方にとっては、整理のしやすい方法でもあります。
② 住み替える(今後の暮らしやすさを優先)
段差の少ない平屋や駅近のマンション、シニア向けの集合住宅など、年齢を重ねても安心して暮らせる住まいへの住み替えを検討する方も増えています。「いずれは一人になるかも」と感じているなら、体が元気なうちに次の住まいを探し始めるのがおすすめです。
中には「高齢だと賃貸を借りにくいのでは?」と不安を感じる方もいるかもしれません。実際、一部の物件では年齢や保証人の問題で契約が難しくなるケースもあります。ただし、最近ではこうした課題に配慮した「高齢者歓迎」の賃貸住宅や、見守りサービス付きの物件も増えてきました。地域に根ざした不動産業者を頼れば、希望や不安に寄り添った物件選びも可能です。
暮らしやすさを優先し、無理のない環境に身を置くことは、心身の健康にもつながります。「住み替え」は、不安を減らしながら安心を手に入れるための前向きな選択肢なのです。
③ 備えておく(今の家に住み続ける準備)
今の家にできるだけ長く住みたい方は、将来の変化に備えて家の改修を検討しておくと安心です。たとえば、手すりの設置や浴室の滑り止め対策、生活動線の見直しなど、少しの工夫で暮らしやすさは大きく変わります。また、万が一のときに備えて、家族や信頼できる不動産業者と今後の相談体制を整えておくことも大切です。
判断を急がないために知っておきたいこと
老後の住まいのことを考えるとき、「早く決めなきゃ」「何かしなきゃ」と焦ってしまう方も少なくありません。けれど実際は、今すぐ売ること、動くことだけが正解ではないのです。
大切なのは、「いざというとき、どうするか」を考えておくこと。
たとえば、体調を崩してから住み替えを考えるのは負担が大きくなりますし、子ども世代に突然判断を委ねてしまうと、思わぬトラブルにつながることもあります。
今のうちに「自分はどうしたいのか」「この家はどうするつもりか」という気持ちを整理しておくことで、心にも時間にも余裕が生まれます。
また、家のことは自分たちだけで抱え込まず、信頼できる不動産の専門家に相談するのもひとつの方法です。とくに地域密着型の業者であれば、地元の相場や制度、高齢者向けの住み替え事情にも精通しており、不安や疑問にきちんと答えてくれる存在です。
「動くのはまだ先だけど、話だけでも聞いておきたい」
そんな段階でも気軽に相談できる体制があることを知っておくと、将来の備えとして大きな安心につながります。
不安を前向きな行動につなげるために
「この先、もし一人になったらどうしよう」
そんな不安を抱えるのは、決して特別なことではありません。
誰にとっても、住まいや暮らしを見直すタイミングは、人生の中で何度か訪れます。大切なのは、その時に慌てず、自分らしく納得のいく選択ができるよう、準備をしておくことです。
たとえば、住まいの選択肢を知ること。家の価値や使い道をあらかじめ整理しておくこと。
「自分にとって本当に安心できる環境とは?」を一度立ち止まって考えてみるだけでも、漠然とした不安が、少しずつ現実的な「選択肢」に変わっていきます。
そして何より、家のことは一人で抱え込まないでください。家族がいれば、家族の想いも聞いておくといいでしょう。
将来のこと、相続のこと、住み替えや売却のこと。地域密着で活動する不動産会社であれば、地元の制度や市場に詳しく、あなたの不安や希望に寄り添った具体的なアドバイスができます。話を聞くだけでも構いません。
この先も安心して暮らしていけるように、まずは一歩踏み出してみませんか。
まとめ
「いつか一人」になったときの住まいについて、不安を抱えたまま何となく後回しにしていませんか?
一人になってからでは遅いことも、今ならゆとりをもって備えることができます。住み慣れた家に住み続けるのか、思い切って住み替えるのか、それとも売却を視野に入れるのか。選択肢はさまざまですが、どの道を選ぶにしても「知っておく」ことが、将来の安心につながります。
また、地域の実情を知る不動産のプロに話を聞くことで、自分だけでは気づけなかった道が見えてくるかもしれません。
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